春の訪れを描く——エルメス上海メゾンのウィンドウディスプレイ
Mar 19,2025 | 田村
上海「エルメス之家(エルメスメゾン)」では、春の到来を祝う特別なウィンドウディスプレイ《チクタク・春を描く》が展示されています。この華やかな作品を手がけたのは、ベルギー出身のアーティスト、シャーリン・ティベルゲイン(Charline Tyberghein)です。

冬の冷たさが残る中、春の訪れを告げる花々が蕾を膨らませる——そんな移り変わる瞬間を、ティベルゲインは独自の視点で捉え、ウィンドウをキャンバスに見立てたアート作品へと昇華させました。2025年のエルメスの年間テーマ「アート・オブ・クラフト(匠の技)」とも響き合い、職人技と自然の美しさが見事に融合したディスプレイが完成しました。

超現実の世界観で春を表現
ティベルゲインは、アントワープを拠点に活動するアーティストであり、超現実主義的な作風で知られています。彼女の作品には、視覚的な錯覚やパターンを用いた遊び心が満ちており、日常の風景を新たな視点で捉え直す魅力があります。

今回のウィンドウディスプレイでも、象徴的なモチーフがふんだんに散りばめられています。メンズコレクションのディスプレイでは、《Trail》スニーカーが緑豊かな背景の中で軽やかに描かれ、まるで錯視のように実像と影が交錯します。また、蛇のようにしなやかなベルトが春の目覚めを象徴し、背景にはエルメスの馬術の伝統を彷彿とさせるグリーンの菱形パターンが施されています。

アクセサリーコーナーには、バーニー香水が花々に囲まれ、シプレー調の香りを漂わせます。ミニ・メドールバッグは、柔らかい花びらの中から顔を覗かせ、まるで春風に誘われるように軽やかです。背景には、上海エルメスメゾンの外壁からインスピレーションを得たレンガ模様が施され、建築とアートの対話が生まれています。

レディースコレクションのウィンドウでは、《Kelly Multipocket To Go》バッグが春風に舞い、背景には赤と白のストライプが大胆に描かれています。これは馬術競技の障害バーから着想を得たもので、躍動感に満ちています。さらに、カクテルグラスが静かに佇み、春のピクニックやアウトドアのひとときを連想させます。

伝統と革新の融合
ティベルゲインの作品は、緻密な技法とコンセプチュアルなアプローチが融合し、伝統的な技術と現代的な視点を見事に結びつけています。これはまさに、エルメスの職人が一点一点のアイテムに込めるこだわりと共鳴するものです。

《チクタク・春を描く》は、静けさの中に春の息吹を感じさせるウィンドウディスプレイ。時の移ろいとともに、生命の輝きが増していく様子を表現しています。
この特別な春のウィンドウディスプレイは、2025年5月15日まで上海エルメスメゾンで公開されます。春の訪れを感じるこの作品を、ぜひ現地で体感してみてはいかがでしょうか?