100年の歴史を誇る甲子園が日本の青少年スポーツの歴史を刻む
Jul 17,2024 | 田村
今年の8月、日本の阪神甲子園球場は100歳の誕生日を迎えます。阪神甲子園球場は日本で最初の大規模な多機能野球場であり、現存する日本のプロ野球チームの本拠地の中で最も古いものです。しかし、さらに広く知られているのは、日本の高校野球の聖地としての存在です。甲子園は青春と夢を象徴しており、毎年の野球大会は国民的スポーツイベントとなっています。

アニメ『タッチ』や『ダイヤのA』などの青春熱血漫画で、高校生の野球部員たちが毎日早起きして全力を尽くすのは、ただ一つの目標、「甲子園に行くため」です。
彼らが口にする「甲子園」とは、毎年春と夏に甲子園球場で開催される高校野球大会を指します。
春の甲子園、略して「春甲」は「選抜高等学校野球大会」のことで、毎年3月に選抜委員会が各地の学校の野球部から推薦された32チームが参加します。
一方、8月に開催される夏の甲子園、略して「夏甲」は「全国高等学校野球選手権大会」のことで、全国の約4000校の中からシングルエリミネーション方式で代表49チーム(北海道と東京は2チームずつ)が決まり、甲子園で「日本一」を目指して競います。夏甲の歴史は甲子園球場自体よりも古く、1915年から開催されており、1924年までは大阪府の豊中球場で行われました。第二次世界大戦の影響で1942年から1945年までの間は中断されましたが、今年で106回目を迎えます。

夏甲の開催期間中、各試合には最大5万人の観客が集まり、全国のテレビ中継の視聴者数は数百万人に達します。NHKなどの国営テレビ局から地方メディア、ネット配信者まで、こぞって中継や報道を行い、ソーシャルネットワークでも甲子園に関する話題が絶えません。
選手たちの活躍やチームの感動的なストーリー、試合に敗れた後に土を掘って持ち帰るシーン(試合後に甲子園の黒土を記念に持ち帰るのは日本の高校野球の伝統です)などがメディアに大々的に取り上げられ、熱い議論を呼びます。
甲子園で活躍するスター選手は、テレビのスターにも劣らない人気を誇り、その中には大谷翔平、ダルビッシュ有、田中将大など、日本のプロ野球リーグやメジャーリーグで活躍する選手もいます。
2018年の第100回夏の甲子園では、秋田県の公立農業学校「金足農業」の逆転劇が海外のソーシャルメディアでも話題になりました。

1998年の第80回全国高等学校野球選手権大会での松坂大輔選手。甲子園からメジャーリーグへ。
甲子園は選手たちの試合だけでなく、日本人の故郷への愛も表現されています。
各チームには学校の吹奏楽部やチアリーダーが付き、地域の特色を生かした応援を行います。また、地元の住民たちは応援団を組織して甲子園に駆けつけ、現地に行けない人たちは地元でライブ中継を集団で観戦します。地元の飲食店や商店、様々な組織が地元チームを応援する宣伝活動を行います。
普段は甲子園に出場することが少ない地域が一度出場すると、その喜びはまるでお正月のように祝われます。
なぜ高校生のスポーツ大会が国民的イベントに?
なぜ高校生のスポーツクラブの大会が、全国的にこれほどの注目を集め、百年もの歴史を持つ文化現象となったのでしょうか。それは日本のスポーツと教育の密接な関係にあります。
高校野球は教育の一環
日本ではスポーツ教育の重要性が長い間認識されており、時代ごとにその特徴が変わってきました。「高校野球は教育の一環」という言葉は、日本高校野球連盟が発表した「日本学生野球憲章」の理念の一つです。アメリカのプロ野球が高度に商業化しているのとは異なり、日本での野球の興隆は、教育との深い結びつきから始まりました。

明治維新の時期に、日本の国門が開かれると、アメリカの教授たちが野球を日本の大学に持ち込みました。最初に野球が発展したのは旧制第一高等学校(現在の東京大学教養学部の前身)、早稲田大学、慶應義塾大学などのエリート校でした。
日本の大学野球界の有名な「早慶戦」、すなわち早稲田大学と慶應義塾大学の野球試合はこの時期に始まりました。これにより、野球は日本で最初の本格的な団体スポーツとなり、剣道や相撲などの伝統的なスポーツ競技の中で一席を占めるようになりました。
野球はまた、若者に「武士道精神」を培うための手段とも見なされました。球場は「道場」と同様に、規律、精神訓練、自我犠牲を強調し、すべてを集団の名誉のために捧げることが求められました。
「学生野球の父」と称される前早稲田大学野球部監督、飛田穂洲はこう言っています。「高校野球は学生に精神教育を施す場であり、球場は純粋な精神と道徳の教室である。」

第二次世界大戦後、再建期の日本はスポーツ教育の重視を続けましたが、一連の人権改革を行い、「国防と軍事のためのスポーツ鍛錬」という理念を、「人々の生活の快適さと青少年の健全な成長を促進する」ものに変えました。学生の体力健康向上のために、食事の栄養に注意を払い、学校給食制度を推進し、食育にも力を入れました。
1960年代、日本経済が急速に発展する中で、国民の生活の質に対する要求も高まりました。1964年の東京オリンピックの前に、日本政府は1961年に初めてのスポーツ法である「体育振興法」を制定し、「国民が生涯を通じて心身ともに健康な生活を送ることを目的とする」と提唱しました。これにより、スポーツの振興を社会発展の重要な一部と見なしました。
その後数十年間、政府は「体育振興法」を中心に様々なスポーツ政策や施策を打ち出しました。2000年には「スポーツ振興基本計画」を提案し、「スポーツ立国戦略」を明確にし、21世紀初頭のスポーツ発展の重点として生涯スポーツと競技スポーツを掲げ、青少年から始めて生涯にわたるスポーツ社会を築くことを目指しました。

2006年の日本の権威あるスポーツ調査機関「笹川スポーツ財団(SSF)」のデータによると、2005年には10~19歳の青少年の46%、約591万人が課外のスポーツクラブ活動に参加していました。中学生のスポーツクラブへの加入率は1960年代の36.6%から2000年には77.4%に増加し、高校生は1970年の25.0%から2001年には54.2%に増加しました。
しかし、21世紀初頭の10年間、日本国民のスポーツ参加率は予想ほど伸びず、「スポーツ振興基本計画」の目標も完全には達成されませんでした。2011年には「スポーツ基本法」が制定され、「体育振興法」が50年ぶりに全面改正されました。新たな法は「スポーツを通じて幸せで豊かな生活を追求することは全ての人の権利である」という核心理念を明確にし、再び青少年スポーツの発展を優先する政策を強調しました。
多様な運動部文化
日本における青少年期の学校スポーツの重視は、「体育授業」と「運動部活動」の二つに大きく分けられます。
学校の体育授業は、スポーツの知識や技能の向上だけでなく、「身体教育」として、スポーツを通じて心身の健康を育むこと、公正さ、協力、ルールの遵守などの意識を養うことを目的としています。

文部科学省は各学年で完了すべき体育のカリキュラムを設定しており、現代スポーツの基礎であるランニング、ジャンプ、サッカーなどに加え、生活に密接に関連するスポーツ、日本の伝統スポーツ(例えば、水泳、柔道、剣道など)が含まれます。授業内容は実技と理論が並行して行われ、運動能力の評価だけでなく、スポーツ理論の理解も評価されます。
一方、運動部はアニメ作品でよく見られる学校のスポーツクラブで、「甲子園」を目指す野球チームもこれに含まれます。
1970年代、日本は「ゆとり教育」の時代に入り、学生の学業負担を軽減した後、学校は大規模に体育教育を展開し始めました。1989年に改訂された中高生向けの「学習指導要領」では、「学校の運動部活動への参加が必修のクラブ活動の一部または全ての単位に代わることができる」とされ、学校運動部の設立基盤が固まりました。
ほとんどの学校には、野球、サッカー、バスケットボール、水泳、陸上競技などの人気スポーツのクラブや、相撲や体操などの特色ある運動部が存在します。
これらの運動部は学生が自主的に組織し、全ての学生に開放されており、地域のスポーツセンターや高レベルのアスリートが指導を担当します。多くの子供たちは小学校から、自分の興味に応じて運動部に参加し、学校や保護者は子供たちがスポーツ活動に参加することを積極的に支援します。

日本では、スポーツクラブに合わせて学校を選ぶこともあります。
例えば、近年話題になっている「野球留学」は、子供たちがより良い野球教育を受け、甲子園に出場する機会を高めるために、地元を離れて有名な野球名門校に通うことを指します。
日本の各学校間には一貫した運動部の上昇体系が確立されており、スポーツ愛好者の子供たちは小学校から大学まで自分の選んだ運動部に参加することができます。
それぞれの学年段階でのスポーツ教育の重点は異なり、小学校ではスポーツへの興味を育て、中学校では自分の好きな種目を見つけることを重視し、高校や大学では計画的にトレーニングを行い、職業選手としての養成が行われます。
日本の教育省は、学校が提供するスポーツ活動の多様性が、年度ごとに政府が提供する教育予算の数額に直接影響することを規定しています。

アニメ作品の影響力
日本の学校スポーツがこれほど盛んな理由の一つに、政府の政策と経済支援だけでなく、社会の関心と関連機関の重視に加え、流行文化の影響があります。
日本はACG(二次元)文化の大国であり、多くの若者がスポーツに関心を持つきっかけは、熱血感溢れるスポーツアニメからです。クラシックな『スラムダンク』や『キャプテン翼』、『タッチ』、『テニスの王子様』から、近年の『ハイキュー!!』や『ダイヤのA』、『黒子のバスケ』など、スポーツを題材にしたアニメ作品は、学生の現実生活に密着しつつも、アートとしての要素も加わり、多くの若者の成長の一部となっています。

これらの作品は、メジャーなスポーツだけでなく、マイナーなスポーツも取り上げています。例えば、自転車競技を描いた『弱虫ペダル』や、競歩をテーマにした『風が強く吹いている』、フィギュアスケートの『ユーリ!!! on ICE』など、これらのアニメ作品は、これらのスポーツの認知度を高める役割を果たしています。
最近、日本のTBSテレビのバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』では、「どの漫画の影響でそのスポーツを始めたのか」というテーマで調査が行われ、1万人以上の日本人がインタビューに答えました。その結果、55.9%が漫画の影響でボクシングを始め、19.6%が野球、18%以上がバスケットボールやサッカーを始めたと回答しました。さらに、3.9%がゴルフを始めたと答えました。
また、日本政府は、競技スポーツ、参加型スポーツ、学校スポーツの相互協力を促進する政策を数多く実施しています。公共スポーツ施設を建設し、学校の体育施設を有効活用することで、国際競技力を高め、国民が豊かな生涯スポーツ生活を送ることができるようにしています。

結びに
さまざまな年齢層に関わらず、スポーツ教育は強靭な体力を育み、強い性格を培い、団体間の協力を通じて集団の力を認識させることができます。学校間の競争は、成長期の子供たちに勝利と敗北の両方に直面する方法を教え、健全な人格を形成します。これは日本のスポーツ教育の核となる考え方です。
学校から社会に出てからの道は様々ですが、スポーツを通じて鍛えられた健康な体と人格は、一生の宝物です。青春時代にチームのために努力した日々を振り返ると、それは過去の生活の中で最も輝かしい記憶の一つとなるでしょう。
